健康コラム
肝臓と疲労
- あなたの肝臓、大丈夫?
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- この頃、妙に疲れやすくなった・・・
- めっきりアルコールに弱くなった・・・
- 物忘れがひどくなった・・・
- 最近太ってきた・・・
これらの原因は肝臓にあるかも知れません! 肝臓は『沈黙の臓器』とも言われるほど、自覚症状がなく、痛みを感じない臓器です。肝臓の働きは、分解、代謝、解毒、貯蓄、体熱維持の5つに分類されます。肝機能の低下といえば、二日酔い、肝炎、肝硬変、肝臓がんを思い起こすことが多いですが、実は疲労感をはじめ、さまざまな症状と密接なかかわりを持っているのです。
肝臓のはたらき
肝臓は、体重の約1/50の重さとされるほど体内でも非常に重い臓器です。また、血液を多量に含んでおり、体全体の血液量10~14%にも相当します。
- 1.代謝機能
- 食べた物から消化吸収した栄養素を処理して、糖分や脂肪分をエネルギーとして蓄えたり、たんぱく質を合成したりします。
- 2.解毒機能
- 老廃物やアルコールなどの有害物質を代謝して無毒化させたり、体内で発生する有害なアンモニアを無害な尿素に合成、尿から体外に排出したりします。
- 3.排泄機能
- 肝細胞は胆汁を生成・分泌し、胆道に排泄します。いったん胆嚢に蓄えられ濃縮された後、十二指腸に分泌されます。
疲れと肝臓の関係
体内に老廃物(疲労物質や有害物質)が急増すると、人は疲れを感じます。 肝臓は老廃物を処理するために多大な負担がかかると働きが悪くなります。疲れをとるためには肝臓の働きを元気にし、「疲れ・だるさ」の原因である老廃物を体外へ排泄する機能を促進することが必要です。
- 疲労時は、身体の代謝により発生する老廃物(アンモニアなど)を、肝臓が処理する機能が低下します。
- 処理されなかった老廃物は、脳の運動中枢神経を刺激します。
- 運動中枢は、老廃物を押さえるため、体を休めさせるような指令を出します。 そのため、体の動きが鈍くなります。これが疲労感です。
- 活動力の低下【眠気、だるさ】
- 気力の低下【集中力、思考力。気力などの低下、焦燥感、イライラ】
- 体の違和感【肩こり、口臭、頭痛など】
肝臓の健康を守る方法
- 1.適度な運動
ウォーキング、水泳などの有酸素運動が効果的です。逆に、運動によって血中のアンモニアが増加すると、肝臓はその処理に追われます。肝臓をいたわるには、過剰な運動には注意が必要です。1日に15~30分を目安に、週3日以上、続けて体力アップに取り組みましょう。
- 2.睡眠
質の高い眠りが疲労回復につながります。 ふとんに入る前に、音や光などの刺激が少ない環境を整え、カフェインなどの刺激物の摂取も控えましょう。日中の仮眠は、15時前の20~30分。長い昼寝は避けましょう。
精神的ストレスが増えると、交感神経が緊張して、肝臓を動かす神経である副交感神経がうまく働かなくなります。交感神経の緊張は多くの内臓の血液量も減少させ、肝臓に余計な負担をかけることになります。リラックスして気分転換できる時間を増やしましょう。
- 3.入浴
38~40℃のぬるいお湯に20~30分間ゆっくりとつかるのが、リラックス効果をあげる上手な入浴法です。 ストレッチやマッサージもリラックスに効果的です。
- 4.食事
糖分や脂肪分の摂取を控え、良質のタンパク質をバランスよく摂ることで肝機能を高めることができます。ただ、肉類等の動物性食品を摂り過ぎると、有害物質のアンモニアが体内に増えて、頭がボーッとしたり、身体がだるくなったりします。アンモニアを解毒することも肝臓の役目なので、肝臓に負担をかけないためにも腹八分目を心がけましょう。
- 5.アルコール
アルコールを分解する時に発生する毒性の高い物質・アルデヒドは、肝細胞内のミトコンドリアの機能低下を招きます。お酒を飲んだ翌日、二日酔いというほどでなくても、だるさや眠気、なんとなく頭が重い感じがありますが、これは、肝臓の処理能力に限界が来て、脳に疲労のサインが送られているためだと考えられます。お酒を飲む時は特に肉(豚肉)や魚、乳製品と一緒に摂るようにしましょう。お酒は雰囲気を楽しんで上手に飲み、週に2日は肝臓を休めましょう。