健康コラム熱中症
暑さに強い人でも、熱中症は侮れません。熱中症とは、汗をかけない状態になって体温調節機能が働かなくなることです。大量の汗をかいて身体に水分や塩分が少なくなると汗が出にくくなります。また、湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、これも汗が出にくくなる原因になります。
1.中高年男性に多い熱中症
ここ数年、熱中症による救急搬送は増加傾向にあります。救急搬送記録によると熱中症患者は全体の3分の2が男性と言われています。また、65歳以上の人については、日常生活での発生が近年増加傾向にあります。
- ●夕方でも注意が必要!
夏、ウォーキングやマラソンは昼間を避けて、夕刻から始める人も多いのですが、夜になっても気温が下がらず30度くらいのときもあります。 運動習慣は毎日続けていると体力や持久力が付き、体調や天候が悪くても無理が効くようになります。また、ついついのめりこんでしまう真面目な性格の人は、義務のようになっている場合があります。体調と相談しながら続けることと、正しい水分補給を行いましょう。
- ●中高年の熱中症は重症化しやすい
- 加齢により体内の水分量が少なくなります。また持病・薬の服用などの要因で、屋内でも起こりやすいため重症化する例も多く、注意が必要です。正常な場合、汗が蒸発することで熱が奪われて、体温を調節します。ところが、大量の汗をかいて水分や塩分が不足して脱水状態になったり、湿度が高いために汗が蒸発しにくいときには、体内の熱をうまく逃せなくなります。
- ●熱中症の3つの段階
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- 軽症:めまい・立ちくらみ・足の筋肉がつる
- 中等症:頭痛・吐き気・おう吐・だるさといった強い疲労感
- 重症:ふらふらする・立てない・意識障害
2.熱中症への対処
- 軽症
- 多くの場合自力で対処することができるので、エアコンのある部屋、屋外なら木陰など、涼しい場所に移動します。冷水や氷などで身体を冷やし、水分と塩分を補給します。
- 中等症/重症
- 体温の冷却はできるだけ早く行う必要があります。中等症、重症の場合は、周囲の人が救急車を呼び、医療機関を受診します。身体が熱いのに汗をかいていない場合は重篤です。救急車が到着するまでは、涼しい場所で衣服をゆるめて身体をしっかり冷やし、飲めるようなら水分と塩分を補給します。
- ●積極的に冷やす
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- 頭・首筋
まずは頭を巡る血液を冷やすために、後頭部・首すじから始めましょう。濡れたタオルや氷や水を袋にいれたもの、保冷剤などを直接当てて冷やします。
- わきの下、脚の付け根
- 太い血管が皮膚の表面に通っている部分で、ここを冷やすと身体を巡っている血液の温度を下げ、全身を冷やすのに効果的です。
- ●熱中症の予防法
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- 十分な睡眠で体調を整えます。
- 外出するときは、20分以上前に水分補給をしておきましょう。水を飲んでから15~20分は吸収に時間がかかります。外出中も、のどが渇いてから飲むのでは遅いため、こまめな水分補給が必要です。寝ている間に熱中症が起こることもあるので、寝る前にもコップ1杯の水を飲むなど、水分を補給します。
- 暑さに慣れていないと熱中症が起こりやすいので、猛暑になる前から少しずつ身体を暑さに慣らすようにします。
- 汗をかく習慣を。空調管理が行き届いた室内で過ごす人は、真夏でも汗をかくことが余りありません。猛暑日に汗がきちんと出るように、半身浴などで汗をかく身体をつくりましょう。
- 35℃を超える時間帯には外出を控える方が安全です。炎天下を避け、高温多湿、無風、日ざしが強いときには、なるべく涼しい場所にいましょう。
参考:環境省 熱中症環境保健マニュアル(2011年5月改訂版)