健康コラム下肢静脈瘤
脚の静脈が瘤(こぶ)のように膨れて、皮膚表面まで浮き出てしまうのが下肢静脈瘤。 心臓から足に送られ使い終わった汚れた血液は、静脈を通って心臓に戻されます。重力に逆らって心臓に血液を送らないといけないので、静脈の中には“ハ”の字型の弁があり、血液の逆流を防いでいます。下肢静脈瘤は、この静脈の弁が壊れ、血液が滞留して血管が膨れ皮膚の表面に浮き出る静脈独特の病気です。
1.こんな人はなりやすい
- 肥満の人
- 糖尿病の人
- 立ち仕事の人
- 筋肉をあまり使わない人
下肢静脈瘤へのステップ
むくみから下肢静脈瘤に発展します!
- ステップ1
- 時々むくんだり、傷やあざがなおりにくいと感じます。外見上は変化がありませんが、脚の血液の流れが悪くなると、静脈、リンパ管による排泄機能が低下し、組織内の水分の停滞がはじまります。
- ステップ2
- 皮膚の色ムラがみられたり、デコボコも多少確認できるようになります。むくみやだるさが気になってきます。毛細血管は切れやすくなり、ちょっとぶつかっただけで内出血したり、気がついたときにあざができていたりします。
- ステップ3
- 下肢静脈瘤の前兆。組織内に停滞している水分量が増え、毛穴や汗腺を押しあげ、皮膚表面はデコボコになります。脚が重く、だるさが増します。皮膚の細胞は酵素や栄養素が不足するため、乾燥してツヤを失います。
- ステップ4
- むくみが増し、皮膚をさわると冷たく感じます。老廃物や毒素の排泄がとどこおり、血管を圧迫します。
- ステップ5
- 自覚症状:脚が熱っぽくて、しばしば火照る感じがします。ふくらはぎがつったり、こむら返りが起こりやすくなります。皮膚表面に青や緑ががった青色の血管が網目のように浮き出て見えます。かゆみや湿疹を伴うこともあります。
予防法
- 長時間立ち仕事をする場合は、30分~1時間に5分~10分は、脚のストレッチ、土踏まずの指圧、屈伸運動をするなどして血行を促す。
- 弾性ストッキングや足のポンプ作用をサポートするサポーターなどをつけて、できるだけ足の血行が良くなるようにしましょう。
- お風呂上りなどに足先から太ももの方向にマッサージする。
- 夜寝るときには、クッションなどを使って足を心臓より高くして休む。
- ●おすすめのストレッチ
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- ※高齢者や持病のある方は、必ず医師に相談の上でおこなってください。
- ※気持ちいいと感じる程度まで伸ばしてください。
- 大たい四頭筋(太もも前面)
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- 両足を伸ばした状態で座る。
- 片足を曲げて、かかとをお尻に近づけ、上体を軽く後ろに倒す。
- ゆっくりと呼吸しながら、2の状態を30秒間キープする(左右おこなう)。
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- エコノミークラス症候群
- 飛行機の機内は砂漠以上に乾燥しています。そのため、長時間機内にいると脱水状態になり、血液は固まりやすくなっています。さらに、飛行機の狭い座席に長時間座り続けていると、下肢や骨盤の静脈内で血液が固まりやすくなり(血栓)、立ち上がった際にこれが血流に乗って心臓から肺へと体内を移動して肺の動脈が詰まって肺塞栓症(呼吸困難や心肺停止)をおこしてしまうのがエコノミークラス症候群です。 下肢静脈瘤の患者さんは静脈瘤に血液がたまりやすく血栓ができやすいので、エコノミークラス症候群になりやすいと言われています。