健康コラムピロリ菌と口臭
「この人の息、臭い…」と感じることはあるけれど、なかなか指摘し辛いもの。歯磨き、マウスウォッシュ、消臭サプリでも消えないお口のニオイ…。それはピロリ菌のせいかもしれません。今回は、お口のニオイを気にせず会話も弾ませたい!そんなエチケット対策に根本から取り組むあなたに、ピロリ菌の予防・対策についてお伝えします。
1.ピロリ菌とは?
- ●十二指腸潰瘍、胃潰瘍の原因
現在は十二指腸潰瘍の9割、胃潰瘍の7割はピロリ菌が原因と考えられています。最近の診断では、胃十二指腸潰瘍の患者にはピロリ菌がいないか検査し、感染していたら除菌するのが標準的な治療となっているのです。
- ●胃の中で唯一、生き残る逞しい菌
- 胃のなかには0・1規定の塩酸(胃の壁細胞で作られる純度の高い塩酸)が存在するため、口から胃内へ入ってきた細菌は塩酸により殺菌されてしまいます。ですから、胃には細菌は生息できないと長い間考えられてきたのです。ところがピロリ菌はウレアーゼという酵素をたくさんもっていて、この酵素が尿素からアンモニアを生成させ、アンモニアによって胃酸を中和させるから生き残れるのです。
- ●50歳以上の約8割が保菌者
- 日本での感染率は20代が20%、40代が40%、60代が70%程度と年齢とともに高まる傾向にあります。感染していたとしても自覚症状はありませんが、胃炎や胃十二指腸潰瘍などの主な原因である事から、WHOでは胃癌の危険因子として承認されています。日本でも胃十二指腸潰瘍の人でピロリ感染が認められた患者さんには、除菌療法が保険で認められています。
2.ピロリ菌感染予防法
口臭を消臭してくれる食品などもありますが、一時的なモノに過ぎません。ピロリ菌の治療は、抗生物質や胃酸を抑える飲み薬で行われます。しかし、最近では、同じピロリ菌でも従来の抗生物質では効かない耐性菌が出現し、除菌率の低下が問題になってきているため、予防が必要です。
- ●内視鏡を使わなくてもできるピロリ菌の検査
- ピロリ菌を見つける検査には、内視鏡を使わなくてもできる次のような方法もあります。
- 診断薬を服用し、服用前後の呼気を集めて診断します。
- 血液や尿などを用いて、ピロリ菌への抗体を測定する方法です。
- 糞便中のピロリ菌の抗原の有無を調べる方法です。
- ●ピロリ菌を抑制するといわれる食品を摂る
※ただしピロリ菌除菌に有効という科学的根拠はまだありません。
- LG21などの一部のヨーグルト
- マヌカハニーなどのハチミツ
- ココアの脂肪成分
- 梅肉エキス
- ブロッコリーの新芽(スプラウト)
- わさびの葉
- シナモン
- 海藻類
- クランベリー
- ●野外レジャーや海外旅行が増える季節は要注意!
- ピロリ菌は食べ物や飲み水からの「経口感染」が主と考えられています。また煮沸で完全にこの菌を除去できるという保証はないというのが現状です。野外レジャーや海外旅行で不衛生な生水を飲んだり、きちんと検査されていない井戸水を飲まないようにするなど、最低限の注意が必要です。
- ●家庭内のゴキブリ駆除
- ゴキブリがピロリ菌を運んでいる可能性が指摘されているので、台所を清潔に保ち、ゴキブリの駆除を心がけることも一つの予防法として考えられています。