お食事 伝統/歴史

「鱧(はも)の落とし」が楽しみなころ

投稿日:2016年7月22日

7月17日、京都では祇園祭の「山鉾巡行」が行われました。

「祇園祭と言えば鱧料理」といわれるほど、
この2つには密接な関係があり、
ともに京都の夏の風物詩として挙げられます。

鱧の落とし

 

京都の中央卸売市場では7月16、17日に
鱧の値段が最も高騰します。

これは、料亭や旅館などが
鱧を買い占めてしまうためだそうです。

 

鮮魚を運ぶ技術が無かった時代。
海から遠く離れた京都で、
真夏に「鮮度のいい魚」を手に入れるのは
至難の業でした。

ところが、鱧には、
ずば抜けた生命力があったため、
生きたまま瀬戸内から
京都まで運ぶことが出来たといいます。

その為、京都の料理人たちが
「どうすれば、鱧を美味しく食べられるようになるのか」
と研究した結果、
「鱧の落とし」が編み出されたそうです。

 

鱧は硬い小骨が多いため、
そのまま食べることができません。
そこで、皮を残して小骨のついた身を切る
“骨切り”という手法が使われました。

骨切りは、一寸(約3cm)の幅に、
約24~25本の切り込みを入れるのが理想とされます。

切り身を熱湯に落としてサッと引き上げ、
氷水で冷やし、
すぐに水を切って盛り付ける「鱧の落とし」。
熱湯に入れた途端、
皮がちぢんで丸まり、
骨きりした身の切り目が開いて、
花が咲いたようになります。

 

通常は、梅肉や辛子酢味噌、
わさび醤油でいただきます。
酸味のあるタレが、
淡泊な鱧の旨みを引き立てます。

また、バルサミコ酢とオリーブオイルでいただくのも素敵です。

久郷直子

-お食事, 伝統/歴史

関連記事

鍋料理

冬は、一人鍋が最高

鍋物が続くこのごろです。 鍋といえば、 私は旬の魚・タラを使った「タラ鍋」がお気に入り。 特に、白子のある雄のタラが美味しいです。 身が崩れやすいので、 先に野菜を鍋に入れ、後ほどタラを入れます。 出 …

時計

明日6月10日は『時の記念日』。

『時の記念日』は、大正9年に東京天文台(現・国立天文台)と 文部省の外廓団体である生活改善同盟会によって制定された記念日。 「671年の旧暦4月25日(新暦6月10日)に、 天智天皇が日本で初めて水時 …

2019年お正月

2019年最初のミッションは…

あけましておめでとうございます。 平成最後のお正月、存分に楽しまれたでしょうか? 初詣、初売り、初日の出、書き初めなど「初」のつくイベントに加えて、 家族や親しい人たちとお屠蘇を飲み、 お雑煮やおせち …

雛人形

「ひな祭り」の由来を考える

明日3月3日は、ひな祭りです。 ひな祭りの起源は、中国から伝わった五節句の1つ 「上巳(じょうし)の節句」といわれています。 上巳の節句には草や藁で作った人形(ひとがた)を撫でて穢れを落とし、 厄災を …

新米はご馳走

秋刀魚、松茸、栗、新米…秋は旬の味覚があふれる季節。 中でも新米のおいしさは格別です。 湯気の下につややかに光る半透明の米粒… この時期、毎日いただくご飯がとびきりのご馳走になります。 新米は普通の炊 …