季節 植物

コスモス

投稿日:2016年9月9日

昼間は暑いものの、
朝夕の涼風が心地よいこのころ、
咲き誇るコスモスが似合う季節です。
ひらひら風になびくコスモス。
その細い茎に、透けるような花びらは可憐!
コスモスの鑑賞は、この季節の楽しみでもあります。

コスモス

 

でも、この頃はちょうど二百二十日(ニヒャクハツカ)があります。
二百二十日とは、季節の移り変わりを示す雑節の1つ。
立春から数えて220日目であることから、二百二十日と呼ばれています。
この日は、二百十日(ニヒャクトオカ)と合わせて、
台風に見舞われる厄日とされており、
日本各地で農作物を風害から守るために
神様に祈願する「風祭り」が行われます。

 

台風と聞くと「弱々しいコスモスが、
ぽっきり折れてしまうのではないか」と心配になります。
しかし、コスモスは案外強い植物なのです。
私は、そのことを小学生のころに知りました。

花壇いっぱいに咲いていたコスモスが
大雨と暴風によってなぎ倒されました。
茎は地を這うように倒れ、
その先についた花も泥がかぶっていました。
けれども、暴風雨が止んで青空が広がると、
倒れていたコスモスが、ぐっと頭を持ち上げ、
嵐の前と少しも変わらない様子で、
ヒラヒラと空を見上げているのです。

 

コスモスについて、
歌人・与謝野晶子がこんな歌を読んでいます。

<コスモス>
一本のコスモスが笑つてゐる。
その上に、どつしりと
太陽が腰を掛けてゐる。
そして、きやしやなコスモスの花が
なぜか、少しも撓(たわ)まない、
その太陽の重味に。

 

紫式部や清少納言以上の才媛といわれた晶子は、
与謝野鉄幹との結婚後、多くの子をもうけながら
様々な詩歌を世に送り出しました。
そんな晶子もまた、
力強くすっと空を仰ぐコスモスを見たのでしょう。
「弱々しく疲れて見えても、いざという時、とても強い…」
晶子は、コスモスにそんなイメージを持っていたのかもしれませんね。

久郷直子

-季節, 植物

関連記事

月の満ち欠け

月の満ち欠けとバイオリズム

月の満ち欠けは、バイオリズムと関係が あるという話を聞いたことがあります。 調べてみますと、月とバイオリズムの関係性は、 科学的に解明されてはいません。 しかしバイオリズムは、月の満ち欠けと同じく、 …

傘

降らずとも雨の用意

各地の梅雨入りニュースが届く頃となりました。 お茶の達人と言われた千利休が唱えた「利休七則」の一つに、 「降らずとも雨の用意」という心得があります。 降っていなくても雨の用意をしよう…つまり不慮の事態 …

朝顔の花

初夏の贅沢『ガーデニング』

5月といえば種まきの時季。 夏に花を咲かせたり 収穫を楽しもうと種を買いに、 いざホームセンターへ。 ガーデニングの醍醐味は 植物に「生命」を吹き込む所から。 苗を買ってきて植え替えるのは楽ですが、 …

ビールと枝豆

暑い季節も悪くない…

暑さが続く毎日。 体調管理はたいへんですが、ちょっとした楽しみや喜びもあります。 洗濯物がカラッと乾くこと、冷たい水がありがたく思えること、 まとわりつく熱気に混じる草木の匂い、セミの声、スイカの甘さ …

サンドイッチ

梅雨の楽しみ

外出がおっくうになる梅雨。 部屋の中で、SNSでの交流を楽しんでみてはいかがでしょうか。 世界中で多くの人が利用している「3大SNS」。 「Facebook・Twitter・Instagram」です。 …