ノロウイルス感染症はウイルス性の胃腸炎で、秋ごろから流行します。
細菌性食中毒(サルモネラ、赤痢、O-157等の腸管出血性大腸菌感染症)と、ウイルス性の嘔吐下痢症との大きな違いの一つは流行する時期です。細菌による場合は夏場に多いのに対し、ウイルスによる場合は冬場に多いのが特徴です。

主な症状ははき気、おう吐及び下痢です。通常は便に血液は混じりません。感染してから発病するまでの「潜伏期間(せんぷくきかん)」は短くて10数時間~数日(平均1~2日)で、症状の持続する期間も数時間~数日(平均1~2日)と短期間です。
特効薬はありません。症状の持続する期間は短いですから、その間に脱水にならないように、できる限り水分の補給をすること(場合によっては病院で点滴をしてもらって)が一番大切です。抗生物質は効果がありませんし、下痢の期間を遷延させることがあるので、ノロウイルス感染症に対しては通常は使用しません。その他は吐き気止めや整腸剤などの薬を使用する対症療法が一般的です。下痢が長びく場合には下痢止めの薬を投与することもありますが、最初から用いるべきではないとされています。